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低温調理器

目次

低温調理器で肉料理が変わった

2020年、コロナで家にいる時間が多くなり、なんとなく低温調理器を買ってみました。

あまり期待はしていなかったものの、低温調理器を手にする前と後で肉料理が変わりました。以前は、ローストビーフなどの肉の塊を調理する際は焼きすぎたりして硬くなってしまったことがありましたが、低温調理器があれば百発百中で丁度いい塩梅に仕上がります。

「どうせ硬いしなぁ」と敬遠していたスーパーの安いステーキ肉も、低温調理器があれば柔らかジューシーなステーキに生まれ変わります。肉好き、料理好きには絶対におすすめの調理家電です。

低温調理の仕組み

低温調理をするうえで考慮すべき温度は4つあります。

  • ミオシンの変性温度
    50℃以上になると、ミオシンというタンパク質が変性し、ムニムニとした生の食感から、咀嚼しやすく旨味を感じやすい食感に変わります。
  • アクチンの変性温度
    66℃を超えると、アクチンというタンパク質が収縮して水分を外に絞り出し、肉が硬くなってしまいます。アクチンを変性させないことで、肉汁が外に漏れるのを防ぎ、ジューシーさと風味を守ります。
  • 殺菌温度
    厚生労働省曰く、食肉の中心部を75℃で1分間、またはこれと同等の条件にすれば食中毒菌を殺菌できます。温度と過熱時間の早見表はBONIQが提供しているものが見やすいです。例えば、厚さ2.5cmの牛肉であれば、57℃で3時間の調理が必要です。
  • メイラード反応の温度
    低温調理をした後は、強火(160℃以上)のフライパンで表面を軽く焼き、焦げ目をつけることで見た目と風味をアップします。

つまり、「55℃~66℃で数時間低温調理した後、強火のフライパンで表面を焼けばいい」ということです。(調理方法によって食中毒のリスクがあるのでご注意ください。ご自身でもレシピを調べ、調理は自己責任でお願いします。)

あと、低温調理器の使い方としてあまり認知されていませんが、魚(刺身用)の解凍にも使えます。特にマグロやカツオは-5~0℃で酸化しやすいので、この温度帯をいかに早く通過するかが大切です。冷蔵庫で解凍すると酸化して黒くなり、旨味がドリップとして抜け出てしまい、臭みも溜まります。ぬるめの食塩水に直接入れる方法もありますが、ジップロックに入れて低温調理器で解凍すれば温度管理が楽です。解凍後は、さっと表面を氷水で洗ってキッチンペーパーで水分を取ればOKです。

工夫と美味しさは比例します。料理ってサイエンスなんだなと改めて感じた次第です。

調理の流れ

牛肉も、豚肉も、鶏肉も、使い方は調理の流れは大体同じです。
待機時間も含めると4時間ほどかかるので週末にやることが多いです。

  1. スーパーで買ったお肉の筋を切ります。脂肪周りが硬くなりがちなので重点的に。フォークでも包丁でもいいですが、自分は下村工業の専用器具を使っています。
  1. 好きな調味料で下味をつける。必須なのは塩です。お肉の重量に対して1%弱が丁度いいです。塩以外だと、コショウ、ニンニク、味の素、ローズマリー、赤ワインなどご自由にどうぞ。すりおろした玉ねぎでお肉は更に柔らかくなりますが、やりすぎると肉繊維がボロボロになって食感が疎かになります。
  1. ぬるま湯を張った容器に低温調理器をセットし、お湯が設定した温度になるまで待つ。設定した温度になったらピーッと鳴るので、ジップロックに入れたお肉をお湯の中にいれて数時間待つ。
  1. 低温調理が終わったらまたピーッと鳴るので、ジップロックを取り出し、10分ほどお肉を常温で休ませる。
  2. 強火のフライパンでお肉の表面を約10秒ずつ焼いたら完成です。

レシピ

ビーフステーキ

筋切り:脂肪周りを重点的にやり、赤身の部分は殆どやる必要ないです。
下味:塩、胡椒、ニンニク、あればローズマリー。
温度と時間:温度を低めに攻めて56.5℃で3時間です。

低温調理器を買った目的とも言えるビーフステーキ。
和牛ではなく、赤身肉のステーキをがっつり食べたい時はやっぱこれです。
家族や友人に振舞う機会がありましたが絶賛してくれました。

仕上げはバターで焼き色を付けると美味しいです。
タレはいつも玉ねぎベースのやつです。

ローストビーフ

筋切り:薄く切るので軽くでいいです。下味が中に染みる程度に。
下味:タレと一緒に食べるので、シンプルに塩、胡椒、ニンニクが無難です。
温度と時間:時間がなかったというのもあり、60℃で3時間やりました。

タレは醤油とみりんと砂糖を煮詰めたものを作りました。
焼き肉のタレでもよさそうな気がします。

レストランも含め、「めちゃくちゃ美味しい!」と思えるローストビーフにまだ出会ったことがありません。ローストビーフの美味しさはタレの美味しさだと思っています。

価値観が変わるローストビーフをいつか作ってみたいです。
下味を工夫し、温度をできるだけ下げればできそうな気もしています。

ローストポーク

筋切り:薄く切るので筋切りは必要ありません。むしろやると旨味が逃げてしまうので注意。
下味:タレと一緒に食べるので、下味は塩と胡椒だけです。
温度と時間:豚肉はしっかりと殺菌をしたいので63℃で3時間やります。

個人的に、ローストビーフよりもローストポークの方が好きです。
お肉の甘味がしっかりしているので、酸味のあるタレと相性がいいです。
写真ではシイタケと玉ねぎとお酢のタレ(間違えてほぼ固形)を添えています。

お肉のうまみ成分であるイノシン酸を活かすには、キノコ類のグアニル酸か、トマトのグルタミン酸と合わせると良いと『食戟(しょくげき)のソーマ』というアニメで学びました。
なので、赤ワインとケチャップをベースにしたタレもローストポークに凄くマッチします。

サラダチキン

筋切り:皮はくどく感じることがあるので取った方がいいです。
下味:塩、胡椒、ライム果汁、テキーラ(または料理酒)、一味唐辛子でさっぱりメキシカン風に。
温度と時間:63℃で1時間半です。

鶏むね肉がビックリするくらいしっとりに仕上がります。
食事制限をしている方や、筋トレ好きな方におすすめです。

やっぱりサラダチキンはさっぱりと食べたいですね。
最近はコンビニに色々な味のサラダチキンがあるので参考にしています。
マヨネーズをかけて、レタスとトマトと一緒に食パンに挟んで食べるのもありです。

砂肝のコンフィ

筋切り:砂肝の白い部分は取って、半分に切ります。
下味:塩、胡椒、ニンニク、オリーブオイル、味の素、あればタイム。
温度と時間:63℃で1時間です。肝系は高めの温度の方が美味しい気がします。

これだけで低温調理機を使うのも手間なので、サラダチキンを作る時に一緒に作ってます。
密閉したジップロックを空けなければ冷蔵庫で2日は持ちます。

砂肝は塩を多めにした方が、おつまみ感が増して美味しいです。
食べる直前に追い胡椒をすればなお良し。